能登に住む方々の日常生活を取り戻す能登に住む方々の日常生活を取り戻す

大豊建設 能登復興プロジェクト スペシャルインタビュー

能登に住む方々の
日常生活を取り戻す

住民の皆さまと地域ファーストで取り組む復興事業

DAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクト
DAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクトDAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクト

2024年1月に起きた能登半島地震に続き、同年9月には奥能登豪雨が発生し、二重被災による甚大な被害に見舞われた石川県・奥能登。道路や河川など地域の暮らしを支えるインフラは甚大な被害を受け、住民の生活や地域経済にも深刻な影響を及ぼしました。

復興への道のりは今なお続いており、一日も早い生活再建と地域の再生に向けて、多くの関係者が力を尽くしています。そうしたなか、大豊建設は災害復旧工事を担当。被災地の日常を取り戻すため、現在も復旧工事に取り組んでいます。そんな現場の最前線で指揮を執る所長に、復旧工事の現状とそこに込めた想いを聞きました。

所長 田口 高志
農政穴水海岸作業所
所長 田口 高志
担当工事の基本情報

担当工事の基本情報

能登半島の付け根付近に位置する穴水町の東海岸にあたる、穴水海岸の堤防復旧工事を請け負っています。ここは農地海岸と呼ばれる人工的に整備された海岸で、背後に広がる水田や農地を津波などから守るために作られました。現場は七尾湾に面した海岸線上に4ヵ所点在しています。主な工事内容は、倒壊した堤防の再構築、地震で沈下したコンクリート盤の嵩上げ、そして鋼矢板護岸の復旧として新たに鋼矢板を打設して土留めを行うことです。

工事概要

  • 工事名称:特定災害復旧事業 石川農地海岸地区 穴水海岸(志ケ浦・甲(かぶと)地区・麦ヶ浦)堤防復旧工事
  • 場所:石川県鳳珠郡穴水町志ケ浦及び甲地内
  • 工期:2025(令和7)年9月12日~2027(令和9)年3月18日
  • 施工面積:<志ケ浦地区2~9工区>
    天端復旧工(天端コンクリート)他 L=119m 他
    <甲地区1工区>
    天端復旧工(天端コンクリート)他 L=231m 他
    <新崎地区1~4工区>
    天端復旧工(被覆工、嵩上工)L=313m 他
    <麦ヶ浦地区>
    堤防復旧工 L=49m(鋼矢板圧入ハット型10H) 他
    <岩車地区20~26工区>
    天端復旧工(被覆工、嵩上工)L=313m 他
現地の被害状況と課題
現地の被害状況と課題

現地の被害状況と課題

2024年(令和6年)1月1日に発生した能登半島地震により、海岸の堤防施設は大きな被害を受け、護岸の倒れや沈下に伴う海水・土砂の流出も確認されていました。工事を受注したのは2025年9月で、私が現地に着任したのは11月下旬でした。震災直後の光景は見ていませんが、現地入りした時点でも、道路には亀裂や段差、凸凹に変形した箇所が残り、斜めに傾いた電柱も各所に見られるなど、地震被害の大きさを強く実感しました。

一方で、道路の通行止めはほとんど見られず、ライフラインの復旧工事も進められていたことから、復興は着実に進んでいると感じました。現地では、生活への影響が大きい箇所から優先的に対応が進められており、道路や電柱についても、安全を確保しながら復旧が進められている状況でした。そのため、街全体としては復興が進んでいる一方で、完全に元の姿を取り戻したとは言い難い印象を受けました。

また、工事箇所である海岸堤防施設では、震災の影響による沈下が各所で見られました。さらに、地権者の方からは、地震後に発生した奥能登豪雨災害によって海水が田んぼに流入し、耕作ができず困っているという切実な声も聞かれ、地震に加えて豪雨災害の影響も地域に深刻な爪痕を残していることを実感しました。

現地の被害状況と課題

工事の課題

甲地区の護岸の復旧として鋼矢板を打ち込む工事がありますが、北岸には充分な作業用スペースと資材置き場が確保でき、工事に支障はありませんでした。しかし、南岸は住宅地のため民家が多く、場所の確保が難しいことから、水上に中継場所として台船を置き、北岸から南岸へ資材を渡すという方法を計画しました。また騒音対策として民家近くに防音設備を設置して施工を進めています。工事そのものだけでなく、工事の影響を考えて近隣住民への配慮を事前に検討することも重要な仕事であると考えています。

工事の課題

地域との関わり

農地で工事をしていると、普段は目にすることのない大型建設機械に興味を持った地域の方が声をかけてくださることがありました。何気ない会話を重ねるうちに、「復興を手伝ってくれてありがとう」と感謝の言葉をいただくこともありました。 自分が生まれ育った土地ではないからこそ、そこに暮らす方々と積極的にコミュニケーションを取り、地域の声に耳を傾けることが大切だと感じています。

今年の1月下旬から2月にかけては石川県でも数年ぶりの大雪となり、毎日のように雪が積もりました。私はこれまで太平洋側での現場に携わることが多かったので、降雪の中で工事を進めるのは新鮮な体験で、改めて雪国で仕事をしていることを実感しました。朝は現場に集合すると、まず雪かきをしてから1日が始まります。現場の安全を確保するためにもおろそかにできない作業なので、皆で声をかけ合いながら頑張りました。全員で協力して雪かきを行うことで現場の一体感も高まり、チームの結束やモチベーションの向上にもつながったと感じています。

地域との関わり

所長としての想い

震災によって地盤沈下し、その後奥能登豪雨によって海水が田んぼに流入し、塩害の影響で数年間は稲作ができなくなってしまった農地がある一方で、逆境にも負けず米作りを続けている農家の方々がいらっしゃいます。農家にとって4月に田植えができるかどうかは一年の営農を左右する死活問題です。工事は稲刈り後の9月から始め、農閑期が終わる翌年4月までに完了させなくてはなりません。限られた工期のなかで確実に施工を終える難しさはありますが、 能登に住む方々の日常生活を取り戻すために、自分にできることを全力でやろうという思いで仕事に向き合っています。

伝えたいメッセージ

災害復興の現場は、想定外の事態が発生したり、工期や施工条件にさまざまな制約があったりと、通常の工事以上に多くの困難に直面します。 しかし、そうした厳しい環境下で最後までやり遂げた経験は必ず土木技術者としての成長につながるので、社内の若手社員にも積極的に挑戦してもらいたいと思っています。

大豊建設の強みは、長年にわたって培ってきた豊富な現場経験と、どのような状況にも粘り強く対応する力であると考えています。私自身も年齢を重ね指導する立場になった今、現場で蓄積してきた知識やノウハウを若手に伝え、次世代を担う技術者育成に貢献したいと思っています。まずは今手がけている工事を確実に完成させて、関係者の皆さまと笑顔で竣工の日を迎えること。そして、その先にある能登の復興と、地域の人々が安心して暮らせる日常を取り戻せるように、これからも真摯に取り組んでいきます。

※記載内容は取材当時の情報に基づいています。