一人ひとりが復興への使命感を胸に一人ひとりが復興への使命感を胸に

大豊建設 能登復興プロジェクト スペシャルインタビュー

一人ひとりが復興への使命感を胸に

仕事の根幹にあるのは、人々の生活基盤を支えること

DAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクト
DAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクトDAIHO CORPORATION 大豊建設 能登復興プロジェクト

2024年1月に起きた能登半島地震に続き、同年9月には奥能登豪雨が発生し、二重被災による甚大な被害に見舞われた石川県・奥能登。道路や河川など地域の暮らしを支えるインフラは甚大な被害を受け、住民の生活や地域経済にも深刻な影響を及ぼしました。

復興への道のりは今なお続いており、一日も早い生活再建と地域の再生に向けて、多くの関係者が力を尽くしています。そうしたなか、大豊建設は災害復旧工事を担当。被災地の日常を取り戻すため、現在も復旧工事に取り組んでいます。そんな現場の最前線で指揮を執る所長に、復旧工事の現状とそこに込めた想いを聞きました。

所長 林 稔
能越道復旧作業所
所長 林 稔
担当工事の基本情報

担当工事の基本情報

能越自動車道の越の原ICと穴水ICの間にある損傷した橋梁を復旧するため、道路の整備と、二車線から四車線への拡幅を目的とした新たな橋の工事を、他社や地元企業との共同企業体で請け負っています。

工事概要

  • 工事名称:能越道穴水越の原橋梁復旧その2工事
  • 場所:石川県鳳珠郡穴水町宇留地地先
  • 工期:2025(令和7)年3月7日~2027(令和9)年3月31日
  • 施工面積:橋台下部 道路土工:1式掘削工 V=1,000m³路体盛土工 V=8,000m³橋台工場所打杭工 Φ1,500 L=14.5m 13本橋台躯体工 1,061m³擁壁工場所打杭工 Φ1,500 L=14.5m 6本擁壁躯体工 362m³土留・仮締切工 1式補強盛土 V=10,000m³路体盛土 V=8,900m³
現地の被害状況

現地の被害状況

現場を訪れたのは地震発生から約1年半後の2025年6月頃でした。当初は4月に着任予定だったのですが、住居の確保が難しかったため遅くなりました。震災からある程度時間が経っていましたが、現地では車両の通行は確保されている一方で、道路の一部に亀裂が見られる箇所や、倒壊した家屋、傾いた電柱が未だに残っていました。実際にその状況を目の当たりにして、被害の大きさを改めて感じるとともに、完全な復興にはまだ時間がかかるという印象を持ちました。今までに担当したいくつかの被災現場と比較しても、能登は山間部が多く交通アクセスが限られ、本州から突き出た地理的な要因によって、復旧工事が長期にわたる取り組みになるということを実感しました。

工事の課題

工事の課題

道路の復旧にあたっては、地域住民の移動手段や物流ルートを確保する必要があったため、二車線を全面通行止めにはできませんでした。そのため、片側交互通行で車を通しながら作業を進めました。交通誘導員を配置してはいますが、速度超過の車両も見受けられ、衝突事故の危険性が高まることからリスク管理には細心の注意を払いました。
また、資材を搬入する際にも利用できるルートが限られており、山中の現場では工事用資材の保管場所を確保することも容易ではありませんでした。さらに、冬季には積雪によって車両の通行が難しくなるため、それまでに工事を完了させなければならないという時間的な制約もあり、地域特有の条件と厳しい環境の下で施工を進める必要がありました。

工事の内容・工夫

橋台に加えて、道路を現在の二車線から四車線へ拡幅する盛土工事も進めています。四車線化が完了した後には、被災により損傷した既設の二車線の再整備が行われる予定です。

橋台の施工では、まず掘削に伴う道路の崩落を防ぐために土留めを設置します。続いて既設橋台の横を掘削し、橋台の荷重による沈下を防ぐための杭を造成。最後に躯体(橋台)を構築するという手順で進めていきます。このような山地の掘削では、下に掘り進めるにつれて地中から岩や硬い岩盤が現れるため、硬質な地盤にも対応できる硬質地盤クリア工法を採用して鋼矢板の打設を行っています。

現場の職員は当初の2名から増員され、現在は4名体制で、10〜30名の作業員と共に工事を進めています。今回は工期が短く、限られた時間で施工を完了するためには少人数でも効率的に作業を進めることが求められました。そこで、職員が一人でも測量できる機器を導入するなど、省力化と生産性の向上に取り組んでいます。

地域との関わり

地域との関わり

山間部の道路工事現場だったため、工事中に地域の方々と言葉を交わせる機会はほとんどありませんでしたが、食事や日々の生活面でお世話になっている地元の方からは、「昨年完了した道路修復のおかげで道が走りやすくなった」と言っていただけました。その道路は震災後に応急的な対応が行われ、車両の通行が確保されている状況でしたので、路面の凹凸によって車がバウンドしたり、ハンドルを取られやすかったりする箇所がありました。そこで車線の線形を整えたり、道路の高低差を解消してなだらかな勾配にするなど、スムーズに走行できるよう修復を行いました。

今回の橋梁復旧工事が完了すれば、盛土の強度や橋梁そのものの耐久性が被災前よりも向上するため、将来的に災害が発生した場合でも被害の軽減が期待できます。また、当社が担当する区間だけでなく、地域全体の復興事業が完了すれば交通の利便性が高まるとともに、インフラの耐震性・防災性も向上し、減災につながるのではないかと考えています。

地域との関わり

所長としての想い

追加された道路の修正工事は、通常であれば3ヵ月半程度の工期を見積もるところを、積雪期を迎える前に完成させる必要があったため、わずか2ヵ月半で完成させなければならないという厳しい施工条件の現場でした。それでも、1日でも早く能登の方々に元の生活を取り戻していただきたいという想いを共有し、職員や作業員一人ひとりが復興への使命感を胸に力を尽くしてくれたことに感謝しています。

私たちの仕事の根幹にあるのは、構造物をつくり、人々の生活基盤を支えることです。その役割は通常の工事でも災害復旧の現場でも変わりません。これからも土木技術者として知見を深め、担当工事を通じて社会をより良くし、地域の皆さまの安全で快適な暮らしに貢献していきたいと思っています。

今後の見通し

拡幅した四車線道路の整備が完了し、能登空港までのルートがつながれば、物流や人の移動の利便性が向上するとともに、災害時の緊急支援や救援活動にも大きく役立ちます。 能登半島地震では、救援車両が被災地へ迅速に向かうためのルートを確保することの重要性が改めて浮き彫りになりました。こうした経験と教訓を活かしながら、今後も発注者や地域の皆さまと協力・連携しながら、災害に強いまちづくりを実現していきたいと思います。

※記載内容は取材当時の情報に基づいています。