大豊物語(沿革)

大豊建設を歴史から読み解く
  • 1936
    「豊満ダム」での初めての技術確認
    豊満ダム

    700m~800mもの川幅があった旧満州の第二松花江。1936年(昭和11年)、その第二松花江に「豊満ダム」を建設する計画が立ち上がります。堤長1,100m、高さ91m、提頂幅8m、提体積220万㎥、基礎掘削量190万㎥のコンクリート重力式ダムで、当時としてはフーバーダム、ボルダーダム(建設当時の名称)に次ぐ世界的規模の大きさでした。
    1939年(昭和14年)、左岸の仮締切工事が始まりました。しかし、極寒の旧満洲で水中コンクリート工事は困難を極めます。右岸締切提に連結する途中の河底では、蛇篭や玉石などの障害物が凍結し、取り除くことすら容易ではありませんでした。

    そこで、「ニューマチックケーソン」の技術を使用することに。「簡易式ニューマッチクケーソン」を河底に沈めて障害物を除去し、その後、岩着させ底詰めコンクリートを打設し、止水壁の一部とするアイデアが生まれたのです。大豊建設は、このダム建設に関わった技術者たちが興した会社です。創業以来一貫して技術力を磨き続け、革新的な技術で建設業界の屋台骨を築いてきました。

  • 1949
    資本金500万円をもって、1949年3月31日「大豊建設株式会社」を設立
    創業者の内田弘四、加悦宇八をはじめ、満州・台湾でのダム工事に携わったメンバーが社員の半数以上を占めました。建設業法による建設業者登録(登録番号(イ)第20号)
  • 1952
    紫綬褒章受章につなげた、安全性と効率を高め特許を取得「大豊式潜函工法」
    大豊式潜函工法

    1945年の枕崎台風を筆頭に、大規模な自然災害が続いた結果、1949年には政府による主要水系の治水計画が決まり、水資源開発を含めた多目的ダム方式への転換がすすみました。同時に3年連続で台風被害を受けた群馬県の利根川では本流や支流が氾濫し、近隣への大きな被害が広がりました。大豊建設では1948年から護岸工事に着手するも、例年到来する大型台風によって被害を受け、既存の工法では対処することができないと判断をすることとなりました。 その際、現場の主任技術者が満州の豊満ダムで考案した「簡易式潜函工法」を提案し、戦後初めて護岸工事に潜函工法が採用されました。

    のちの1952年「水底地層又は、湧き水地層にコンクリート建造物を建設する方法」として「大豊式潜函工法」の特許を取得。 豊満ダムで「簡易式潜函工法」を考案した内田は、1959年に紫綬褒章を受章しています。

  • 1953
    「電源開発促進法(1952)」の公布に伴う多数のダム関連工事に参加
  • 1954
    「潜函工事」ができる建設会社として1954〜56年には多数の堰堤工事・港湾工事に参加
  • 1962
    東京証券取引所市場第二部に株式上場
  • 1963
    シールド工法第一号 工事着工
    常盤橋地区・千代田区大手町管渠設工事に シールド工法を採用
    「モノレール海上高架橋基礎工事(東京都)」で、場所打ちコンクリート杭に国内民間工事第1号として「リバースサーキュレーションドリル(RCD)工法」を採用
  • 1964
    海外工事第1号着工(イラン国ボシュムギールダム建設工事)
  • 1966
    直江津港港湾改修工事に「ドルフィンドック(DD)工法」を開発。後に特許公告(1971年)
  • 1971
    資本金12億円に増資
  • 1972
    東京証券取引所市場第一部に上場 隅田川永代橋際に本社ビル完成
  • 1973
    資本金17億円に増資
  • 1976
    葛飾区青戸4~5丁目公共下水道工事に「泥土加圧(DK)シールド工法」を開発・採用
  • 1978
    資本金21億円に増資
  • 1984
    チューロン多目的ダムの転流トンネル及び土木準備工事を期に、初の海外現地法人(「タイダイホウ株式会社」)を設立、泥土加圧シールド工法の特許登録
  • 1987
    都市開発を支えた、大豊建設の技術実績
    大豊建設の技術実績

    鉄筋コンクリートによる二重スラブ構造内に設けたエアロックにより、掘削土砂搬出と加減圧作業を行う「大豊式ニューマチックケーソン工法」は画期的な技術でした。しかし、鋼材価格の低下などに伴い、現場施工では簡便な鋼製ロックが普及。「大豊式ニューマチックケーソン工法」はあまり採用されなくなります。 そんな中、とある巨大な吊り橋を東京湾岸部に建設する計画が浮上しました。 一層の工事の安全確保・作業環境の改善・コスト縮減等が求められる中、同社のニューマチックケーソンの大深度化や大型ケーソン工事の増加も後押しする形となり、吊り橋の和基礎として「二重スラブ」が採用されたのです。

    その吊り橋は「レインボーブリッジ」と名付けられ、今や東京の交通に欠かせないものとなりました。 同年、大豊建設は本格的な遠隔操作システムによる無人化掘削工法の開発に着手。さらなる技術開発に乗り出し、翌年の実証実験に成功します。その技術は「DREAM工法(無人化掘削工法)」と名付けられました。

    DOT工法(多連形泥土圧シールド工法)の特許登録
  • 1989
    無人化ケーソン工法「DREAM(Daiho Remote control Excavation Automatic Method)」を開発 DOT工法工事第1号着工
    国道54号新交通システム工事(広島市)に大林組・大成建設との共同開発による「DOT(Double-O-Tube)工法」を採用
  • 1990
    DPLEX(偏心多軸)工法を開発
  • 1991
    資本金50億円に増資
  • 1992
    DPLEX工法(任意断面シールド工法)の特許登録
  • 1993
    レインボーブリッジ竣工、DREAM工法(ニューマチックケーソン無人化システム工法)の特許登録
  • 1994
    レインボーブリッジ 土木学会賞 田中賞作品部門
    1990年に開発した、急速に進展する都市部地下空間の高度利用に応える合理的・経済的な「世界初の四角いシールド工法(DPLEX(偏心多軸)工法)」を習志野市下水道工事に採用(1996年度「土木学科技術開発賞」を受賞)
  • 1995
    長年にわたる国家プロジェクトへの貢献で国家勲章「オフィシエ」を受勲(マダガスカル共和国)
  • 1997
    1997年~1999年に施工した東北縦貫自動車道 馬淵川橋(下部工)工事では、従来の大豊式ニューマチックケーソン工法をリニューアルし、新たに開発した「新大豊式ニューマチックケーソン工法」(現在の New DREAM工法)を採用
    完全無人化への挑戦
    完全無人化への挑戦

    1997年(平成9年)には、従来の「大豊式ニューマチックケーソン工法」をリニューアル。粘性土から砂礫層・岩盤までの広範囲の土質に対応できる、遠隔操作で掘削可能な「多機能型ケーソン掘削機DREAMⅡ」を開発しました。これにより、作業員の労働環境などが一層改善され、安全かつ安心して作業を行えるようになりました。この技術は同年の東北縦貫自動車道 馬淵川橋(下部工)工事に採用され、岩盤掘削に成功します。

  • 1998
    RUP工法の特許登録
  • 1999
    設立50周年 白鳥大橋 土木学会賞 田中賞作品部門、J-DPLEXシールド工法の特許登録
  • 2002
    DAPPI工法の特許登録
  • 2003
    New DREAM工法の特許登録
  • 2004
    北上大橋 土木学会賞 田中賞作品部門 民間建設投資ブームでマンション・オフィスビルの建築実績が増加 「泥土加圧シールド工法」の工事実績が1000件を突破し、全国のシールド工事の7割を占める。
    地下道路トンネルの左右逆配置の特許登録、DRES工法の特許登録
  • 2006
    マダガスカルの紙幣に採用された港湾工事
    マダガスカルの紙幣

    大豊建設とマダガスカル共和国の関係は深く、1977年に政府開発援助(ODA)事業としてナモロナ発電所プロジェクトに参画したのが最初となります。その後も道路建設や給水事業を手掛けるなど、多くのインフラ整備に関わってきました。
    2006年には「総合成長重点地区エホアラ港建設工事」(エホアラ港プロジェクト)を担当。同プロジェクトは、マダガスカル南東部フォードファン近郊に埋蔵されるチタン鉱石をガリソン湾に積み出す岸壁水深17.4mの大規模な港を新設するもので、岸壁部分の設計施工期間はわずか1,000日という難工事ではありましたが、無事期間内に引き渡すことができました。

    高い評価を受け、米国土木学会の下部組織であるCOPRIの2010年度「プロジェクト優秀賞」に選出されました。また2017年マダガスカル国紙幣の絵柄として採用もされています。

    締結クリップ式覆工板の特許登録
  • 2008
    DEFIMA工法の特許登録、DASH工法の特許登録
  • 2009
    設立60周年 矢部川大橋 土木学会賞 田中賞作品部門 マダガスカル共和国「エホアラ港プロジェクト」が米国COPRI(沿岸・海洋・港湾・河川学会)2010年度「プロジェクト優秀賞」を受賞
    二重スラブ式ニューマチックケーソンによる大深度立坑完成
    大深度立坑完成

    二重スラブ式の高度無人化ニューマチックケーソン工法・NewDREAM工法を採用し、遠隔操作による無人化掘削だけでなく、掘削機の日常点検・メンテナンスを大気圧で行うことで作業員の高圧下での作業を大幅に減少して高気圧障害防止を実現。また、沈下完了後の地耐力試験も無人で行い地耐力を確認して大深度立坑を完成させました。

  • 2010
    アンカーケーソン工法の特許登録
  • 2011
    3月11日 東日本大地震発災
    6日後に入村し、長年漁港整備に関わってきた田野畑村の復旧工事を開始。全国から応援社員・OB社員を東北支店に動員。全国の協力会社の応援も得て復旧・復興工事に従事。
  • 2012
    RECC工法の特許登録
  • 2014
    資本金63億円に増資
  • 2015
    人事制度の見直し、女性活躍の推進
    人事制度の見直し、女性活躍の推進

    建設業界では、長年の公共投資の減少やリーマンショックによる景気の低迷から、人材採用数を抑えてきた結果、震災復興、オリパラ需要に伴い、技術者不足に陥っています。 大豊建設では、2015年に人事部を総務部から切り離し人材採用を強化。インターンシップや就労体験など、職場の雰囲気を感じてもらう活動を続けています。また、採用計画も見直しを行い、景気に左右されずに毎年40名前後の新卒採用を実施。社員構成の不均衡の是正に取り組んでいます。

    大豊建設では、2006年に人事制度を大幅に変更し、資格や能力によって昇進する仕組みを導入。女性技術者も2012年以降徐々に採用数を拡大させています。現在現場監督として活躍する女性もいます。

  • 2015
    資本金90億円に増資
  • 2018
    小名浜マリンブリッジ 土木学会賞 田中賞作品部門
    「ひたちなか推進作業所」が公益社団法人日本推進技術協会の「第29回黒瀬賞」を施工部門で受賞
    多様なニューマチックケーソン工事に対応できる機材の拡充をめざし「新中央機材センター」を建設
  • 2019
    創立70周年
    本社ビルのリニューアル工事(創立70周年記念事業)が完了
  • 2020
    技術研究所新設、新たな技術の開発へ
    技術研究所新設

    「信頼に応える確かな技術力」で社会に貢献し続けてきた大豊建設は、日本各地で多くの建設に携わってきました。1964年(昭和39年)6月の新潟地震や1995年(平成7年)1月17日の兵庫県南部地震でも、ニューマチックケーソン工法で施工した橋や建造物は被害をほとんど受けなかったことから、ケーソンは予想以上に地震に強く日本に欠かせない構造物であることが判明し注目を集めています。

    2020年からは、新たに技術研究所を設置し、さらなる技術の開発に向けて動き出しています。
    新たな技術の開発がこれからの日本を支えていくと信じ、私たちは創造と開拓を続けます。

  • 2020
    資本金105億円に増資
  • 2021
    集中的な大雨による水害から都市を守る地下貯留施設を訴求する「UNDER RIVER」
    UNDER RIVER

    気候変動に伴う集中豪雨は近年増加し続け、地下街や地下鉄などの地下空間が拡大する都市部では都市型水害による被害を最小限に抑えることは急務です。大豊建設では、独自の得意技術であるニューマチックケーソン工法やシールド工法を活かし、防災・減災事業に重きを置いてまいりました。その中で当社が注力する地下雨水貯留施設を大雨の日だけ現れる幻の川「UNDER RIVER」とコンセプト化し、存在意義についてコンセプト動画と、特設サイトを制作しました。

  • 2022
    東京証券取引所プライム市場に移行
    資本金307億円に増資
    株式会社麻生と資本業務提携契約を締結
  • 2023
    資本金100億円に減資