社会
大豊建設の社員寮 『グラシア南森町』 が運用開始! 環境編
2023.07.25
2023年3月31日、大豊建設の将来を担う若手社員に、快適な生活空間を提供するための単身寮【グラシア南森町】が完成しました。
この建物は、居住時に使用するエネルギー消費量を20%削減する「ZEH-M Oriented」を取得。当社を含む7社で共同設立した総合林業事業会社「MEC Industry」が開発した新たな木質素材「MIデッキ」や、産学連携による共同研究を行い特許を取得した「木質壁を備えたRC架構の耐震設計方法」、さらに一般評定を取得した「CLT耐力壁を用いたRC造工法(RCWSw工法)」を初めて採用するなど、サステナブル建設の最先端技術が施されています。
「MIデッキ」と「CLT耐力壁を用いたRC造工法(RCWSw工法)」を採用した専有部
第一弾の環境編では、意匠設計の井口泰輔さん(大豊建設株式会社 建築本部 建築設計部 第三設計課(意匠))、構造設計の菊池紀惠さん(第五設計課(構造))にお話を伺いました。
―お二人のご経歴を教えてください。
井口: | 2018年に大豊建設に入社して、今年で勤続6年目になります。 前職も設計事務所で、高速道路が敷地の一部を通ることによる分譲マンションの建替えや、某テーマパークの内装設計に従事していました。 |
菊池: | 2017年に大豊建設に入社して、今年で勤続7年目になります。 前職も設計事務所で、構造設計事務所に従事していました。 |
―どのような経緯でZEH-M Oriented取得に踏み切ったのですか。
井口: | SDGsなどの観点から地球環境に配慮したZEH-Mが注目されていること、自社所有の建物は仕様決定の自由度が高いことから、建築本部主導のもと、ZEH-Mの取得へ舵を切りました。 |
―ZEH-M取得の過程で、重視したことはありますか。
井口: | ZEH-M基準を満たす断熱で納まり良く、最小限のコストで設計することに重点をおきました。 また設備機器のコストバランスにも注意をしながら設計を進めました。 設備的な変更や追加、サッシの省エネ化、断熱の厚みや補強の考え方、太陽光パネルの設置等、ひとつひとつの問題をクリアしていきながら進め、後から変更が生じないよう、現場において最終的な仕様が決定したのちに審査機関へ申請を行いました。 現場には断熱材施工の急な設計変更にもご対応頂きながら、予定よりも時間はかかったものの、何とかZEH-M Orientedを取得することができました。 |
―建物のデザインが斬新で素敵ですね!
どのような点にこだわって設計をされたのですか。
井口: | 「木」と「コンクリート」を組み合わせた、ハイブリッドな建物であることを意識して設計しました。 炭素を固定化する木質化を意識して、天井には当社が共同出資で設立したMEC Industry株式会社が開発した新建材「MIデッキ」を取り入れています。さらに最上階の戸境壁にはCLT耐震壁の「RCWSw工法」を採用することで、室内の至る所から「木」を感じられる空間が完成しました。特に主要な外観への木調タイルとコンクリート化粧打ち放しのデザインにこだわったので、ぜひ注目して見ていただきたいです。 |
―このCLT耐震壁は、「木質壁を備えたRC架構の耐震設計方法」で特許を取得し、更に「RCWSw工法」は施工の評定を取得したそうですね。
菊池: | はい!京都大学と大阪大学との産学連携による共同研究を行い、2022年8月に"木質壁を備えたRC架構の耐震設計方法"として特許を取得し、更に”CLT耐力壁を用いたRC造工法(RCWSw工法)” の一般評定を取得しました。RC造で利用するCLT耐力壁の一般評定を取得したことで、共同住宅の戸境壁をCLTとすることが可能となり、第一号として『グラシア南森町』の戸境壁に導入が決まりました。 |
―菊池さんは、建築技術開発の最先端に関わっているのですね!
同じ女性として尊敬します。
菊池: | ありがとうございます。現在はCLTがより使いやすく身近な存在になり、木材利用というアプローチから環境の好循環に貢献出来るよう、開発を続けています。 『木質化』を含めて新しい研究には多額の費用が必要となるため、継続は簡単では無いと思いますが、継続的なCLT利用の取り組みを始め、「技術のアップデート」に対する会社の意欲を感じています。 |
―大豊建設の技術は「現状維持」ではなく「一層の進化」に挑んでいるのですね!
最後にお二人のこれからのビジョンを教えてください。
井口: | 設計者として住宅・非住宅問わず多種多様な建物の設計に携わりたいです。沢山の経験を積むことで、迅速に「結論」を導ける設計者になりたいと考えています。メリットやデメリット、過去の経験や完成後のことも見据え、分からないことがあれば誰かに相談し、明確な根拠を以て結論を出せる知識と経験、コミュニケーション能力を高めたいと思っています。 |
菊池: | 大豊建設は、女性でも責任のある仕事を任せて頂ける会社であると感じています。 建築設計部には、女性の設計課長もいらっしゃいます。それぞれが、責任とやりがいをもって働かれています。 私もこれから携わる仕事で、会社はもちろん社会に貢献できる存在になりたいと思います。 |